砂防用語集
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[み]
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砂防ダム工事期間中、流水を完全に処理して、工事中の災害を防止するとともに、出水による手戻りも防
ぐ必要がある。このため流水を仮締切り、仮排水路によって切り替える。このことを水替え、もしくは瀬替え
という。水替え設備には、ダムの場合、水抜き暗渠を利用した堤体内仮排水路や仮排水トンネル、コルゲ
ート、木どいなどがあり、流路工の場合には仮締切り堤、木どい、水中ポンプの利用などがある。仮設物の
規模は対象とする流量、工事期間、河川の特性などによっても異なるが一般に1〜5年生起確率の洪水流
量程度を対象として設けられている。
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みずセメントひ(水──比) water-cement ratio
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練りたてのコンクリートまたはモルタルにおいて、骨材が表面乾燥飽和状態であるとしたときの水セメントと
の重量比。砂防ダムなどに用いられるコンクリートは耐久性が必要であることから、気象条件の厳しい場
合に55%、通常の気象条件の場合で60%以下とすることが定められている。コンクリート強度σは水セメ
ント比w/cと関係があり、普通ポルトランドセメントを用いた場合の28日強度はρ=-210+215c/wで示され
る。
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砂防ダムの下流部で越流水が落下する部分を前庭もしくは水叩きという。水叩き部を保護するには水叩
工、張石工、副ダム工、捨て石工などの方法がある。
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砂防ダムの前庭部の洗掘を防止しダムの安定を図るために設けられる構造物。水叩き工は砂防ダムが
15m以上の場合および、15m以下で砂礫基礎の場合に設けられる。水叩き工の長さは、落下水が射流か
ら現況河川の水理条件に戻るまでの長さとし、厚さは経験的に1.0m〜3.0m程度が多く用いられている。ま
た長さは経験式として次式がある。
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ここに、L:本ダム軸から水叩き下流端(副ダム軸および垂直壁軸)までの距離、H:砂防ダムの有効高さ、
h0:越流水深、である。
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水褥池がある場合 t=0.1(0.6H+3h0-1.0)
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水褥池がない場合 t=0.2(0.6H+3h0-1.0)
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ここに、t:水叩きの厚さ、H:砂防ダムの有効高さ、h0:越流水深、である。
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みずとおし(水通──) spilway,overflow section
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砂防ダムの放水路のこと。対象流量を流し得る十分な断面を有し、かつ上・下流の地形、渓床の状態、流
水の方向などを考慮してその位置が決定される。水通し幅は上・下流の河幅を考慮して決定し、水通し高
は計画水位に余裕高を加えた高さに定める。放水路の断面形状は直線形、台形、長方形、円弧形などが
あるが最も普通に用いられるのは逆台形である。
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みずぬきあな(水抜─穴) drainage hole
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背後地盤に湧水が多い場合や盛土の場合などに護岸に設ける穴のこと。背後からの水圧による外力を減
殺するために設けるもので、練石積みやブロック積みの場合には、水抜き穴は2m2当たり1個程度設ける
ものとし、内径が小さいとごみや土砂で詰まることが考えられるので、径は5cm以上の大きさとする。材料と
してはビニールパイプなどの耐水材料を使用することが望ましく、施工位置は、湧水の状態などを考慮して
最も適当な位置とする。
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みずぬきあんきょ(水抜─暗渠) drainage hole
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砂防ダム堤体に設ける穴のこと。その目的は、@施工中の流水の切り替えのため、A堆砂後の浸透水を
抜き水圧を減ずること、B流出土砂の調節のため、などである。@の場合には工事完成後は不要となる。
Bについてはある程度大きさが必要となる。水抜き暗渠の大きさ、数、配置は、その目的によって決定さ
れる。
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[め]
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コンクリート構造物における各ブロックの接合部、および収縮によるクラック防止のために用いる材料。目
地材には雨水、小石などが目地に入るのを防ぐために目地の上部に注入して詰める材料としての注入目
地材と、目地の上部に詰める成形材料である成形目地材がある。
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[よ]
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ようあつりょく(揚圧力) uplite pressure
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ダムの底面に働く上向きの水圧。通常ダム底面の上流端で最大値を示し、下流側に向かって直線的に低
減する圧力分布を示す。砂防ダムにおいては堤高が低く堆砂によって上流端水深が小さくなるので揚圧力
を考慮しない場合が多いが、堤高15m以上の砂防ダムにおいては揚圧力を考慮する。
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打込みが終わったコンクリートは、硬化を十分進行させるため、低温度、急激な温度変化、乾燥、荷重な
どの有害な影響を受けないようにコンクリート表面を保護する必要がある。これを養生という。一般的に
は、コンクリートまたはモルタルを打設後、直射日光、寒気、風雨を避け、水和作用を助けるために、むし
ろなどで被いをすることをいう。
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よくしこう(抑止工) restraint works
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砂防工事においては抑止工とは土石流の抑止に用いられる。土石流対策堰堤がこれにあたる。地すべり
工事においては地すべり力に対して直接構造物で対応する工法。代表的な工種として杭工、シャフト工、ア
ンカー工、擁壁工などがある。
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よくせいこう(抑制工) control works
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砂防工事においては、流出土砂を抑制する工法について抑制工という。流砂調節ダムなどがこれにあた
る。地すべり工事における抑制工とは、地すべり発生の誘因を除去したり、地すべりのバランスを回復させ
る工法をいい、地表水・地下水除去工法、すべり面粘土の土質的改良工法、盛土工などの代表的抑制工
がある。
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よゆうだか(余裕高) allowance height
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洪水時の波および流木などを考慮して断面に見込まれる高さ。特に砂防河川のような急勾配の渓流にお
いては、流木、巨礫などの混入によって水位の変動が著しい。そこで、流路工の護岸工は計画高水位に
余裕高を加えた高さまで護岸を施工することとしている。余裕高は、原則としてラショナル式によって計画さ
れた対象流量によって下表のように定められている。ただし、同一流量においても、勾配が急なところ、緩
やかなところでは水理条件が変化することから、砂防河川では十分な余裕が必要となる。このような考え
方から、余裕高は河床勾配によっても変化するものと考えて、計画高水位(H)に対する余裕高(凾g)との
比(凾g/H)が下表の値以下とならないように定められている。
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計画流量
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余裕高
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200m3/s未満
200〜500m3/s
500m3/s以上
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0.6m
0.8m
1.0m
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勾 配
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〜1/10
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1/10〜1/30
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1/30〜1/50
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1/50〜1/70
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1/70〜1/100
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1/100〜1/200
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ΔH/H値
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0.50
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0.40
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0.30
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0.25
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0.20
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0.10
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[ら]
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流水の流下エネルギーを落下方向に向けることにより低減させるとともに、河床勾配を計画河床勾配にま
で緩和させるために流路に設けられる構造物で、河床より構造物水通し天端までの間に高さを有すること
から落差工と呼ばれる。流路工においては落差工は一般に床固工と同一である。
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[り]
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ダムコンクリートの一度の打込みの高さのこと。高さが高いとコンクリートの硬化熱が発散しにくくなり、コン
クリートにひび割れが生ずる可能性が大きくなる。またあまり薄くなると水平打ち継目の処理費が大きくな
るため、0.75m〜2.00mを標準としている。
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リフトスケジュール construction schedule of placement
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コンクリートダムの工程計画および設備計画の検討のため、各ブロック別・リフト別に打設計画を作成した
ものをリフトスケジュールという。リフトスケジュールの作成に当たっては、温度規正から定まる打設間隔・
ブロック間のリフト差、施工能力、年間実働日数、コンソリデーショングラウチングや放流管の設置等の関
連作業による制約、左右岸斜面部の施工順位等を考慮する必要がある。
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流出係数として、分野あるいは使用目的に応じていろいろな値が提案されている。砂防では、一般に下表
を用いて設定している。
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ピーク流出係数fは、f=re/r=3.6Q/rAと定義され、降雨および流域特性と関連するほかに洪水到達時
間の定義によっても異なったものとなる。
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急峻な山地
三紀層山岳
起伏のある土地及び樹林
平坦な耕地
かんがい中の水田
山地河川
平地小河川
流域のなかば以上が平地である大河川 |
0.75〜0.90
0.70〜0.80
0.50〜0.75
0.45〜0.60
0.70〜0.80
0.75〜0.85
0.45〜0.75
0.50〜0.75 |
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りゅうしゅつどしゃよくせいちょうせつダム(流出土砂抑制・調節──)
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目的別に分類された砂防ダムの一種。計画された流出土砂に対して、抑制・調節効果が十分発揮できる
ようにダム貯砂地の堆砂面積をできるだけ大きく計画することが望ましい。
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流木による災害を防止するため、砂防ダムや床固工の水通し部にスクリーン状に設置される工作物のこ
と。砂防河川では、大出水時に流木が流下し、橋梁に阻害されて、越流の原因をつくったり、流木自体によ
る衝撃力による家屋の破壊などが生じている。これらの災害を防止するため設けられるのが流木止めで、
通常、鋼製のスクリーンやスリット状に作られる。
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りゅうろこうはば(流路工幅) width of channel work
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流路工幅は流路工計画において重要な要素の一つである。流路工幅を狭く設定すると洪水時に破堤や溢
水が生じやすいし、水深が大きくなることから掃流力が大きくなって、工作物の安定性にも影響を及ぼす。
河幅を広く取りすぎると流水は流路全面に存在せずに、流路内で乱流、偏流を生じ、不安定な河道を形成
する。そこで流路工計画に際しては適正な流路工幅を与え、流路の安定を図ることが必要である。
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りゅうろこう(流路工) channel works
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流路工とは流路を確定して河道を整備することにより洪水に対して氾濫を防止することはもちろんのこと、
堆積地帯での河床の固定と河岸の保護も合せて行う砂防工事の代表的工法の一つである。流路工の主
な目的は以下のようである。@流路の縦断規正:縦断勾配の緩和による縦横侵食の防止。天井川の解
消。A流路の平面規正:扇状地の乱流防止、流水断面の確保。B特殊な地質の地域における崩壊防止。
流路工の工種としては、護岸工、床固工、帯工、水制工、沈砂池工等があり、また施工場所については、
おおむね河床勾配が1/100より急な河川区間において施工されることが多い。河川改修工事が比較的緩
流区間において河積を増大することにより洪水の氾濫を防止することを主目的として施工されているところ
に砂防流路工事と河川改修工事の相違がある。流路工は、上流の砂防工事が既成もしくは流出土砂量に
対して50%以上の整備が完了してから計画・施工すべきである。
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[る]
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ルジオンテストはダムの基礎岩盤内に削孔したボーリング孔に圧力水を注入し、その透水度より岩盤の透
水性を評価するテストで現場で比較的簡便に実施できて、地層の状態が大体判断できる。ルジオン値とは
ボーリング孔1mにつき10kg/cm2の圧力で1.0リットル/minの水が岩盤中に圧入されたときの透水度1ルジ
オンとしている。もしこの圧入がダルシーの法則に従うような条件であれば、1ルジオン値は1.3×10^-5cm
程度の透水係数に相当する。注入圧力が10kg/cm2以上で試験している場合は注入圧力と注入量とが直
接関係にあることを確認してそのまま求めるが、10kg/cm2以下で折り曲がり点がある場合は換算ルジオ
ン値を求める。
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ダムサイト周辺のボーリング孔の透水試験の結果によりステージ別のルジオン値が得られると、これをダ
ムサイトの断面図に記入しルジオン値の範囲を示した地図を作成する。これがルジオンマップである。これ
はグラウチングの計画および施工の有効な資料となる。ルジオンマップは測定したルジオン値を基に岩質
や地質構造を考慮して作成するが、調査の進展に従って、随時精度の良いものに修正する。
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[わ]
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木材、鉄筋コンクリートなどの柱・はり・壁材で枠を組み立て、中に石礫を詰めて造るダム。枠の材料として
は、上記のほか鋼材、中空コンクリート管などがある。構造物としては一単位を小さくとれるため、全体の
構造が外力に対してフレキシブルなものとなるため、地すべり地や活火山地帯で地盤の変動している地域
で用いられている。
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