砂防用語集

[あ] [か] [さ] [た] [な] [は] [ま] [や] [ら] [わ]





[た]

たいさこうばい(堆砂勾配)
砂防ダムの堆砂勾配は、ほとんど水平に近い勾配から現渓床勾配程度の勾配の間で変化するが、土石
流発生時に確実に土石流を捕捉できる勾配を計画堆砂勾配と定義する。
計画堆砂勾配は、一般に既往実験等によりダム地点の現渓床勾配の1/2から2/3の間の勾配とする。た
だし計画堆砂勾配は1:6.0の勾配(tanθ)を上限とする。
平常時堆砂勾配は既往実績をもとに現渓床勾配の1/2までとする。




たにとめこう(谷止工) small check dam
渓流に造られる数メートル以下の低ダム。土砂を堆積させて山腹斜面を安定させたり、縦浸食を防止す
る。また20°以上の渓流では渓床堆積物を固定して土石流化するのを防ぐ。

たにじすうくぶん(谷次数区分)
砂防計画基準点より上流を対象として、谷次数区分をHorton則により行う。使用する基図は、対象流域の
面積により縮尺1/5,000〜1/25,000程度。
谷筋の最上流部において、そこを谷と見なすか、山腹斜面と見なすかについては下図を参照する。



(Horton則)・・・同じ次数同士が合流して(n+1)次谷となる。たとえば、3次谷に1次谷や2次谷が合流し
ても3次谷のままだが、3次谷が合流すると4次谷となる。




[ち]

ちょさダム(貯砂──) check dam,debris dam
荒廃地から流出する土砂・石礫や、大出水時に上流域より流下する土砂・石礫を貯留する目的で設けられ
る砂防ダムのことをいう。

ちんさち(沈砂池) settling basin
砂だまり工とも呼ぶ。上流に土砂抑制の砂防ダムが十分計画できない場合、活火山地帯のように無限に
土砂の供給源がある場合などは災害防止のため、流路の一部を拡大して流下土砂を貯留する目的で造
られる工種である。沈砂池の容量は流域の諸条件(流域面積、地質、地形、降雨量、荒廃度など)によっ
て異なるが、堆積土砂の排出を考慮して、年1〜2回の土砂排出計画を見込んだ大きさとするのが一般的
である。

[て]

ていてい(堤底) bottom of dam
砂防ダムの底面のこと。堤底は一般に水平が多く、滑動防止を考慮する場合は鋸歯状とする。

でいりゅう(泥流) mud flow
土石流(広義)の一種。第三紀層地帯や火山灰堆積地帯で発生するかゆ状の土砂移動形態をいう。特に
火山地帯で発生する泥流については火山泥流(Lahar,volcanic mud flow)と呼ばれている。流れの先端部
は段波状を呈することが多く、粘性に富んでいる流れである。転石や大礫は主に後続流によって流下す
る。

てんば(天端) crown
砂防ダム、堤防などの堤頂面をいう。水通し天端とも呼ばれている。

てんばあつ(天端厚) width of crown
砂防ダムの天端は、通過砂礫の衝撃や摩耗に十分耐え得るだけの厚さを有する必要がある。この厚さを
天端厚といい、過去の施設災害から検討された結果、砂混じり砂利や玉石混じり砂利が流下する河川で
土石流の発生のない地区では、天端厚1.5〜2.0m、玉石や転石が流下し、土石流の発生のある地区
では天端厚3.0〜4.0mが標準とされている。

[と]

どあつ(土圧) earth pressure
ある境界面に生ずる土の圧力。土圧論としてはクーロンとランキンのものが有名である。クーロンは土を剛
体と仮定して平面すべり面を持った土くさびの釣り合いにより土圧を求める。一方ランキンは重力のみが
作用する半無限の地盤内における各点の塑性平衡状態にある応力から土圧を算定している。また土圧に
は受動土圧、静止土圧、主動土圧があり、構造物は状況に応じてこれらの土圧を基準にして設計される。

どあつけいすう(土圧係数) coefficient of earth pressure
砂防ダムの堆砂土圧計算において土圧係数は一般に0.3〜0.6で示される。土圧係数はクーロンの土
圧論で
Ce=[cos・i-√(2cos^2・i-cos^2・φ)]/[cos・i+√(cos^2・i-cos^2・φ)]
で示される。砂防ダムなどの背後がほぼ平坦(i=15°くらいまではcos・i≒1と仮定できる)とすれば、
Ce=(1-sinφ)/(1+sinφ)
で示される。内部摩擦角φを35°とすればCe=0.27≒0.3となる。

どうごめ(胴込)
練石積み護岸工やコンクリートブロック積み護岸工などにおいて工作物の一体化のため、積石やコンクリ
ートブロックの表面から控え長の間に詰めるコンクリートを胴込め(コンクリート)という。胴込めコンクリート
の施工に当たっては合端部分にコンクリートをてん充することが難しいのでモルタルを用いる場合もある。
特に練石積みにおいては胴込めによってその強度が左右されるとまでいわれるほど重要である。

どうりゅうてい(導流堤) traininh dyke
川の合流点や河口の部分における流路が、土砂の堆積によって乱されるのを防ぐために設けられる堤防
や、泥流を無害に下流に流下させるために設けられる堤防のことをいう。

とこがためこう(床固工) groundsel,ground sill
河床洗掘を防止して河床縦断形状を規制し、流水の流向を制御する目的で河川を横断して造られる構造
物をいう。床固め工には、このほか氾濫水の集水を兼ねて、流路工最上流端に設けられる、いわゆる「止
めの床固め工」もある。一般に高さは5m以下で、有効落差は2〜3mが多い。床固め工は貯砂機能は有
しないが、河床固定、縦断勾配の緩和、乱流の防止の効果の他、河岸崩壊の防止の効果を持つ。

どしゃりゅう(土砂流) sediment flow
土砂流や泥流に対して用いられる用語で、堆積構造は層状を呈し、堆積勾配も緩く、流水によって徐々に
堆積するので、家屋等に対する影響も土石流や泥流ほど大きくない。実際の土砂災害の中では現象として
最も多く出現し、しばしば土石流と間違われることがある。

どせきりゅう(土石流) debris flow,mud flow
掃流力によらない土砂の流れの形態の名称で、従来は山津波(やまつなみ)などと呼ばれていた。最近の
研究により土砂流と呼ばれるものにも、土砂の流れ方や堆積の仕方によって狭義の土石流(debris 
flow)、泥流(mud flow)および土砂流(sediment flow)があることが判明している。主な特徴は、土石流は先
端部に巨礫を含む岩石礫群を有し、後続流は泥流や高濃度の土砂流である。巨礫による衝撃力は大きな
破壊力を持ち、直進性がある。先端部は勾配が10°〜4°程度の地形の所で停止するが、後続流部は流
下し、しばしば災害の原因ともなっている。堆積構造は層状を呈しない。泥流が発生する地域によっては泥
流(第三紀層に多い)と火山泥流(活火山地帯に多い)とがある。ともに流下速度が早く、桜島野尻川では
河床勾配1/20の流路工で約13m/secの速度が観測されている。堆積は堆積基準面からそ上する。先端
部には必ずしも石礫を有しないが段波状を呈することが多い。比較的導流が可能である。流体の密度は
桜島の火山泥流で1.81〜1.95と測定されている。土砂流は、土石流と呼ばれる土砂の流出状態のうち最も
多い形態であり、堆積の状況は層状の堆積層を呈し、流れの速度は、通常の流水とほぼ同一と考えられ
る。土石流に比較すると衝撃力は小さく、被害は土砂流の継続時間に関係する。導流は比較的可能であ
る。
渓床勾配の区分(θ:渓床勾配)
区   分
備         考
  0°≦θ< 3°
  3°≦θ<10°
 10°≦θ<15°
 15°≦θ<20°
 20°≦θ
 土石流・土砂流堆積区間
 土石流・土砂流堆積区間
 土石流流下堆積・土砂流流下堆積区間
 発生区間・流下区間
 発生区間
土石流危険渓流および土石流危険区域調査要領案より

どせきりゅうきけんけいりゅう(土石流危険渓流)
土石流危険渓流とは、土石流の発生の危険性があり、1戸以上の人家(人家が0戸でも官公署・学校・病
院・駅・旅館・発電所等のある場所を含む)に被害を生ずるおそれがある渓流をいう。
なお、土石流危険渓流以外の土石流が発生および流下する恐れのある区間についても、準用することが
できる。

どせきりゅうたいさくダム(土石流対策──)
土石流の抑止、土石流の緩和などを目的として設けられる砂防ダム。砂防ダムにより土石流に対応する
には、土石流をダム堆砂域で抑止する方法と、堆砂域の長さ、勾配、広さを利用して、土石流を掃流形態
にかえる方法とがある。土石流を掃流形態にかえるためには、渓床勾配を土石流の停止勾配以下にする
こと、渓床幅の拡大を上流河幅の3倍以上にすることなどがあげられる。土石流の抑止のためには、砂防
ダム1基により、原則として計画土石流の30%以上を堆砂させるようにダムの規模を決定する。(各自治
体により規模決定根拠は異なる。)

どせきりゅうたいせきぶつ(土石流堆積物) mudflow deposite,debrisflow deposite
土石流が停止すると、平面的には舌状に、断面的にはマウンド状に堆積する。この堆積物を土石流堆積
物という。一般的には、大礫が先端に集中し、後部ほど細粒の石礫が多くなる。土石流の量が多いと河道
が土石流の土砂で埋積される。その後の出水によって土石流堆積物が次第に洗掘され深い谷となるが、
一部には河道に残って段丘を形成する。この段丘を土石流段丘と呼ぶ。



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[な]

ならしコンクリート(均───)
流路工や砂防ダムを施工する際に、掘削時、底面が転石や岩盤などによっては必ずしも平滑にならない
場合がある。このときに基礎面を平滑にするために打設するコンクリートのことを均しコンクリートという。

[ね]

ねいれ(根入──) depth of embedment
特に護岸工などで河床面以下に設ける構造物のことで、その長さを根入れ深さという。通常の河川におい
ては根入れ深さは1〜2mである。

[の]

のりこうばい(法勾配) gradient of slope
護岸工におけるのり面勾配や、ダムの上下流面の勾配をのり勾配という。砂防ダムの下流のり勾配は2
分が多く、上流のり勾配は安定計算によって求められる。流路工の護岸工におけるのり勾配は、下表に示
したように、護岸工の構造によって変化する。

のり勾配
構    造
直 高
のり勾配
石積み、コンクリートブロック積み
練積み
3m未満
3m以上
5m未満
0.3以上(割)
0.4〜0.6
0.5
空積み
3m未満
0.5〜1.5
石張り、コンクリートブロック張り
練張り
1.0〜2.0
空張り
3m未満
1.0〜3.0
コンクリートのり枠張り
2.0
蛇かご張り、連結コンクリート張り
2.0


のりめんほごこう(法面保護工) slope protection works
植生または構造物でのり面を被覆し、のり面の浸食や風化を防止するために用いられる工法。植生によ
るのり面保護は雨水による浸食防止、凍上崩壊の抑制と自然環境との調和を目的とする。構造物による
法面保護工の目的は風化、浸食、のり面崩壊の防止とのり面小崩壊の抑制を目的とし、植生工の不適な
斜面でののり面保護に用いられる。構造物に大きな土圧が予測されるときはアンカーなどの併用も行われ
ている。のり面保護工には各種の工種がある。

のり面保護工の工種
分  類
工   種
植生による
のり面保護工
張芝工
種子吹付工
植生マット工
植生盤工
植生袋工
植生穴工
植生ネット工
構造物による
のり面保護工
石張工
ブロック張工
コンクリート張工
モルタル吹付工
コンクリート吹付工
ブロックのり枠工
現場打ちコンクリートのり枠工
その他の
のり面保護工
のり面アンカー工
蛇かご工等




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[は]

パイピング piping
土中の浸透水により土粒子が移動・流出して、土中に水みちができる現象。自然斜面や盛土斜面などで
パイピング現象が生じ、崩壊の発生原因になることが多い。

はりしばこう(張芝工) sodding
のり面保護工の一種。小面積施工の多い急傾斜地崩壊防止工事に最もよく用いられる工法の一つであ
る。張芝工に用いられる芝は野芝が多く、芝1枚の大きさは、36cm×28cmであり、一束10枚で1m2とな
る。施工に当たっては、凍上のある所では晩秋から冬にかけての施工は避けるほうが望ましい。また日照
りによる芝枯れの危険性から盛夏の施工も望ましくない。

[ひ]

ピーク流量(──流量) peak discharge
ある地点で観測されたハイドログラフの最大流量を当該洪水のピーク流量と呼ぶ。砂防ダムの放水路や、
流路工の断面決定にはこのピーク流量を基本に土砂混入を考慮した計画流量が用いられる。最大流量
の観測値をもたない渓流におけるピーク流量の算定には、ラショナル式
Q=0.2778・fr・A
f:流出係数、 r:豪雨の時間雨量(mm)、 A:流域面積(km2)が用いられる。

ヒービング heaving
粘性土地盤の掘削工事の場合、土留壁背面の土が前面に回り込むような状態で背面地盤が沈下し、根
切り付近の地盤が浮き上がって(heave)生ずる崩壊現象をいう。土留壁内外の水位差が大きいと、水圧の
作用により底面付近の支持力が低下し、危険性が大きくなる。底面付近の土の透水性が高く、細粒で粒径
が均一な緩い砂の場合は、底面付近の下方から上向きに水位が作用し、底面を押し上げることがある。こ
のようなヒービングを特にパイピングと名付けている。ヒービング防止には、支持力の大きい層まで土留を
打ち込むか、土留壁の根入れ深さ(土留壁の強度をチェック)を大きくする。

ひえつりゅうだんめん(非越流断面)
重力式コンクリートの砂防ダムには、流水が流下する越流部と流水が越流しない構造の非越流部とがあ
る。砂防ダムの堤長が長い場合、その経済性、施工性を考慮して越流部と形状を変えた非越流部の断面
を決定することがある。この場合、非越流部の断面は上流のりが急で、下流側の下流のりが緩となるの
で、越流部断面に対して逆断面となると表現することがある。

ひりゅうりょう(比流量) speciffe discharge
流域の単位面積当たりの流量のことで、一般にm3/sec/km2単位で示される。ラショナル式における0.
2778frを比流量と呼ぶ。流域面積が異なる流域間の流出量の比較や、性格が類似した他の流域の流量
の推定に用いられる。また、比流量は、流域が少ないほど大きくなるのが普通である。

[ふ]

フーチング footing
柱や壁などの構造物の荷重が土の表面の限られた部分に集中して作用すると、土層は破壊または沈下
するので、それを防止するために荷重を広い面積に分散させ、地盤または杭に伝えて支持させるように底
面を広げてある基礎構造物のこと。

ふくダム(副──) counter-dam
ダム工において、主ダム下流部の洗掘防止のために設けられる工法。一般に主ダム、副ダムともに岩盤
上に設けられ、ウォータークッションにより自由落下水脈の衝撃力を緩和させ基礎の保護を目的として施
工される。副ダムの位置は経験により
L=(1.5〜2.0)(H1+h0)
H1:水叩き天端から本ダム高、h0:本ダムの越流水深、L;本・副ダム間の長さ、で示される。また、副ダム
の高さは
H2=(1/3〜1/4)H0
H0:ダムの堰高、H2:本ダムと副ダムの重複高、で示される。砂防ダムの堤高が高く、越流水深が大きい
場合には、副ダムの堤高も大きくなる。そこで下流の洗掘防止対策として、第2副ダムや沈床、ブロックな
どの護床工を施工する場合もある。

ふとんじゃかご(布団蛇篭) gabion works
鉄線、竹、柳などを用いて四角のかごを編み、中に玉石または割石を充填して作る蛇かごの一種。粗度が
大きく、屈撓性に富むので、護岸の根固め工、床固工、水叩工などに用いられるが、一般には耐用年数は
10年以下である。

フローティングダム floating dam
砂防ダム基礎部は一般に岩盤であることが望まれるが、ダム高15m以下の砂防ダムに限っては、基礎が
岩着しない砂礫層上にダムを築造することがある。このダムを岩着している基礎を持つ砂防ダムに対し
て、フローティングダムと呼ぶ。フローティングダムの場合には前庭洗掘により転倒する恐れがあるので、
前庭保護には十分注意が必要である。

ブロックダム block dam
屈撓性を持たすためブロックによって築造されるダム。その性質上地すべり地でのダムに用いられてい
る。またブロック継ぎ足しによって容易にダムの形状を大きくすることができるため、災害復旧工事などで
も用いられている。しかし衝撃力に対応するには不適当で、土石流対策用のダムには向かない。また、基
礎部の細粒砂の流出による形状変化が生じやすい。ブロックの大きさは積み重ねが可能な範囲で大きく
するが、通常5t/個程度が用いられている。

ブロックわり(──割) block
砂防ダムのコンクリート打設は、打ち継目と収縮継目によって行われる。この継目によるコンクリートの区
切りをブロック割という。ブロック割の大きさはダムコンクリートのひび割れ防止とコンクリート打設能力、水
替え施設、ダムの構造などを考慮して決定される。また、現場の事情で変更する例も多い。人工冷却の行
われない砂防ダムの場合、ひび割れ防止の観点から1.5m以下のブロック割が適当である。

[ほ]

ボイリング boiling
お湯などが沸騰する意味の英語"boiling"が語源であり、根切り底面付近の砂地盤に上向きの浸透流が生
じ、この水の浸透力が砂の水中での有効重量以上になった場合に、砂が持ち上げられ、沸騰した状態で
破壊する現象をいい、クイックサンドと同一現象である。このほか、支柱や杭などのまわりから被圧が噴出
してボイリングを起こすことがある。ボイリング防止には、ウエルポイントなどにより地下水位を下げ、浸透
力を弱めるか、注入工法などにより、地盤を強化するとともに、難透水性の地盤にする方法などがある。

ほうせん(法線) alignment
構造物の平面的な配置を示す線。流路工計画においては、流路の法線は重要な一要素である。一般に、
砂防流路工の法線は直線形が望ましいとされている。特に河床勾配が1/30より急な場合、S字の法線は
できるだけ避けるべきである。

ほりこみかどう(掘込河道)
流路工を施工する際に護岸天端を周囲地盤と同一もしくはそれより低い所に位置させる。流路工が周囲よ
り低いため掘込河道と呼ぶ。これは洪水流を安全に流下させる目的で施工されるものであるが、掘込河道
による短所、すなわち地下水位の変化、自然環境の変化などにも十分配慮する必要がある。

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