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『直壁型床止めの設計例』についての考察

1.はじめに

「床止めの構造設計手引き:(財)国土技術研究センター」に記載されている「直壁型床止めの設計例 
p123〜p134」で疑問点が生じましたのでここで考察したいと思います。

疑問点というのは、p124に記載されている下流側等流水深(h2)の算出式のことです。


h2=q/v2=q/(1/n・h2^(2/3)・I^(1/2))

∴h2=(q/(1/n・I^(1/2)))^(3/5)

ここで、
h2 : 下流側等流水深
 q : 単位幅流量
 n : 粗度係数
  I : 河床勾配


私は現在、小さい河川(設計流量Q=20m3/sec,河幅B=6.0m)の取水堰の設計をしているのですが、この「直壁
型床止めの設計例」に基づいて算出した下流側等流水深と、床止め設計ソフトで算出した下流側等流水深と
があまりにも差がありすぎたため、「どちらが正しいんだろう?」との疑問からこの考察は始まっております。(「設
計例」の下流側等流水深の方が浅く算出される。)

ここで算出される下流側等流水深は、「越流状態の判断」に影響するため、その後の設計を進めていく上で非
常に大事であると思われます。現に上記の設計の場合、「設計例」では設計流量Q=20m3/secとしても”完全越
流状態”となるのですが、「設計ソフト」では”潜り越流状態”となってしまいます。

「何が違うのか?」
どうやら、「設計例」の方がマニング式の径深”R=h2”としている所のようです。


2.径深”R=h2”

通常、径深(R)は通水断面積(A)÷潤辺(P)で算出されます。長方形水路で底幅B=6.0m、水深h=2.0mとする
と径深(R)は、

A=6.00*2.00=12.00 m2
P=2.00*2面+6.00=10.00 m
R=12.00/10.00=1.20 m

となります。しかし、”R=h2”の考え方でいきますと、R=h2=2.00 mです。

径深が高い方が流速は早くなりますから、当然流量も大きくなります。逆に言うと、流量が同じである場合「設
計例」の方が水深が浅く算出されるわけです。


ここで、河床幅B=6.00m,粗度係数n=0.030,河床勾配 I=1/400の長方形水路で設計流量Q=20 m3/secとすると、

【直壁床止めの設計例】

単位幅流量q=20/6.00=3.33 m3/sec
下流側水深 h2=(3.33/(1/0.03*(1/400)^(1/2)))^(3/5)=1.51 m


【通常の流下断面計算】

下流側水深 h2 =1.835 m (水深はトライアル)
A=6.00*1.835=11.01 m2
P=1.835*2面+6.00=9.67 m
R=11.01/9.67=1.139 m

V=1/0.03*1.139^(2/3)*(1/400)^(1/2)=1.818 m/sec
Q=11.01*1.818=20.02 m3/sec ・・・・・・OK

∴【直壁床止めの設計例】 < 【通常の流下断面計算】 (その差 約33cm

となります。


では、何故”R=h2”なのでしょうか。
『絵とき水理学(改訂2版)』という本の「径深(水理学的平均水深)とは P55」に以下のように書かれています。


流積Aを潤辺Sで割ったものを径深または水理学的平均水深といい、Rで表します。径深Rは次
式で表されます。
R=A/S
次のような場合、径深Rは簡単に表すことができます。
(1)幅が広く、水深の浅い河川   R≒H   ただし、Hは水深
(2)円形管水路            R=D/4     Dは管の内径


つまり、河幅が広い場合”R=h2”として差し支えないということです。

「直壁型床止めの設計例」を見てみますと、なるほど河幅がB=100mとなっています。計画流量Q=600m3/escで
下流側等流水深はh2=2.37mとなり、”幅が広く水深の浅い河川”と言えるでしょう。

それでは「通常の流下断面計算」ではどうなるでしょうか。

下流側水深 h2 =2.411 m (水深はトライアル)
A=100.00*2.411=241.10 m2
P=2.411*2面+100.00=104.82 m
R=241.10/104.82=2.30 m

V=1/0.035*2.30^(2/3)*(1/400)^(1/2)=2.489 m/sec
Q=241.10*2.489=600.10 m3/sec ・・・・・・OK

計算の結果、それぞれの下流側等流水深の差は約4cmでした。4cmの誤差が許容内かどうかわかりません
が、まぁほとんど変わらないと言って良いのでしょう。


3.まとめ

以上の考察の結果から、「直壁型床止めの設計例」に基づいて計算を行う場合、河川幅が広く水深の浅いケ
ースでは誤差が少ないが、河川幅が狭いケースの場合には下流側等流水深が通常より極端に浅く算出
れるということがわかる。

河川幅が狭いケースでこの誤差を最小限に抑えるためには、h2=(q/(1/n・I^(1/2)))^(3/5)の式を用い
ずに、「通常の流下断面計算」にて下流側等流水深を算出する方が望ましいと思われる。





以上で、「直壁型床止めの設計例」についての考察は終わりますが、私の無い知恵と浅い技術力を駆
使して結論を出しておりますので、思い違い・間違い等あるかもしれません。。。(^^;

また、長々と書いたわりにはたいした考察じゃなかったと思われるかもしれません
が、どうかお許しを。。。(^^ゞ


ご指摘・ご意見・叱咤・激励等ございまたらこちらまでメールでお願いいたします。m(__)m

2003/05/14

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